“French Connection”に見る、ギャングと警察の1960年代スタイル Part1

今回題材となるのは、”French Connection(フレンチコネクション)”

フレンチ・コネクション [DVD]

  • 公開:1971年
  • 監督:ウィリアム・フリードキン
  • 主演:ジーン・ハックマン
  • 第44回アカデミー賞5部門受賞(作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞・編集賞)
  • ブルックリンとフランスのマルセイユ間の麻薬密輸ルートを題材としたクライムアクションですね。
  • ニューヨークの鉄道の架線下を舞台とした主人公と悪役のカーチェイスシーンは映画史に残る名シーンとして語り継がれている。

 

 

フランスの冬のマリンスタイル ピーコート ウールジャケット


フランスのマリンスタイルといえば

Saint James(セントジェームス)”

#OB021

が真っ先に思い浮かぶと思いますが、

意外と、冬のフランスのマリンスタイルって普段の私たちには馴染みがないかもしれません。

まずはそういった冬のフランスのマリンスタイルを、この作品の黒幕ともいうべき、フランスでのシンジケートの打ち合わせ場面からご紹介していきます。

 

 

冬 フランス 海 に合わせる男のエスプリコーデ


  • 白髪と髭のボス(画像左):なんてことないグレーのウールジャケットに見えますが、丸いラペル1)ジャケットのVゾーンを構成する襟の下部分のことを指す。”ゴージ”と呼ばれる境目を隔てて上部から首を周る部分のことを”カラー”といい、ジャケットの表情を大きく左右するディテールにフラップポケット2)ポケットにフタをするように別生地かぶさっているディテールのことというカジュアルなジャケットを、グレンチェックのハンチング帽3)その名の通り、”ハンティング”用の帽子。イギリス発祥で、伝統的な庶民派帽子に黒のタートルというハンティングライクなアイテムで着こなしています。
  • 打ち合わせ相手(画像右):ネイビーの肉厚なダブルのピーコート4)実は元々ミリタリー出身のディテールで、イギリス海軍や漁師の船上着として採用されていた。肉厚で風を通しにくい肉厚なメルトン地で、両脇には手を温めるためのマフポケット、前の合わせはダブルで大きめのカラーが特徴にベレー帽5)画家などの芸術家のかぶるイメージが強いが、起源は古く中世まで遡る。”グリーンベレー”などで聞いたことがあるように、軍隊の帽子としても採用されてきたを合わせ、インナーには左のボスと同じく黒のタートルニットを合わせています。現代の日本でいうと、若い方の間にも定番化したアウターであるピーコートをこのように大人っぽく合わせるのも素敵です。

 

どちらもフランスらしくエスプリの効いた、上品なカジュアルスタイルですね。

 

こういった、ハンティング、あるいはワーク・ミリタリー調の大人なスタイルを得意とするブランドとしては、

“Nigel Cabourn(ナイジェル・ケーボン)”

 

 

“Engineered Garments(エンジニアード・ガーメンツ)”

などがございます。

 

どちらのブランドもヴィンテージウェアやワーク・ミリタリースタイルに非常に深い造詣を持ち、当時の生地感や着ている人のライフスタイルまで踏み込んで、

かつポピュラーな合わせを可能にしてくる稀有なブランドです。

ナイジェル・ケーボンはイギリス人デザイナー

エンジニアードガーメンツは日本人デザイナ-

によってプロダクションを行っています。

 

ピーコートは、最も身近なミリタリーコート


また、ピーコートに限って言及すれば、

“Schott(ショット)”

NAVY

“FIDELITY(フィデリティ)”

FIDELITY

などがございます。

どちらも定番と化した老舗ブランドですので、幅広い方に着用していただけるブランドかと思います。

 

1960年代のフランスのジャケットスタイルは、ワイドラペルと曲線がキーワード!?


密輸に利用される作中の俳優(画像中央):タートルネックにはっきりとしたギンガムチェックのジャケットで登場します。ラペルはきれいに曲線が体にフィットしたワイドラペルが採用されている点、なかなか現代日本では見かけないエレガントなコーディネートです。

エレガンスも表現しながら、非常に洗練された1着だと思います。イギリス的というよりも、イタリアの、それもナポリ的な洒脱なたたずまいを、オーダー物のような綺麗な曲線が印象付けています。

イタリア ナポリ仕立ての本物を身にまとうなら


 

上記でご紹介したようなエレガンスで上品、洗練されたジャケットをお探しであれば、やはり、イタリアがいいと思います。

特にナポリ仕立ては、手仕上げを用いることで全体の柔らかなシルエット、また縫製に独特の弛みを持たせることで、生活上の体の動きを楽にするよう考えられて作りこまれております。

ちなみに、サイズやパターンが体に合っていないスーツを着たりすると、めちゃくちゃ肩が凝ったり、ひどく疲れたりします。本当に。

お気を付けください。

 

オススメブランドとしては、

 

“CESARE ATTOLINI(チェザーレ・アットリーニ)”

cesare-attolini-storia-evoluzione-vincenzo-attolini-copia

“KITON(キートン)”

NO IMAGE

 

”ISAIA(イザイア)”

ISAIA

“Brioni(ブリオーニ)”

Heritage 2

 

などがございます。

どのブランドも世界最高レベルの生地と縫製技術、職人を擁して生産されていますので、もちろんお値段は張ります(人によっては目ん玉飛び出るかも)が、

一生モノのジャケットを買うのであれば、ぜひ見ていただいて損はないブランドです。

Brioniについては、いわゆるナポリ系ではないですが、作中のスタイルを再現するという上では適切ではないかと思いご紹介します。

ギャバ地のトレンチコートはもはや国籍不問の名作


作中において、しばしば登場人物が防寒着としているコートが、トレンチコート6)第一次世界大戦時に、イギリス軍において欧州の寒冷地方で防寒目的で作られた外套・オーバーコートの一種。一般的にはウール素材や、コットンを非常に目を細か折り目が斜めに見えるような綾織生地を使い防寒性を高め、前合わせはダブル、ウェストベルトやショルダーストラップなどが特徴です。

 

先述のピーコートのようなダブルの前合わせに、ウェストベルト、またピーコートよりは薄手のギャバジンを用いて作られるこのトレンチコートは、

今や定番中の定番と化したコートでしょう。

作中でもブルックリン側の麻薬取引員とフランスから麻薬取引に利用されるために渡米してきた俳優という、2人の違う人物がそれぞれ身に着けている点で、いかに浸透していたアイテムかがお分かりになると思います。

どちらも現代のサイズ感からすると幾分オーバーサイズではございますが、今のブランドはやはりこのコートの特徴やディテールは残しつつ、コンパクトなサイズ感にアレンジしてリリースを続けています。

伝統的トレンチコートと言えば


BURBERRY(バーバリー)

「バーバリー」の画像検索結果

1851年、仕立て屋見習いを経て独立したトーマス・バーバリー氏によって創立。

当時はアウトドア用品を取り扱っていた。

1879年に、上記のギャバジン素材を開発し、それまで冬用のアウターの重くて固いというイメージを革新的に打ち破った。

現在では世界中で愛される巨大ブランド。

 

 

Aquascutum(アクアスキュータム)

「アクアスキュータム」の画像検索結果

1851年ジョンエマリー氏によりロンドン西部にて創業。

初めての防水加工を施したウール素材を開発したことにより成功を収め、ブランド名をラテン語で”水の楯”を意味するAquascutumに変更。

最近ではアメリカ東海岸の大人気スケートブランド”SUPREME(シュプリーム/サプリム/シュープリーム/シュプ)”ともコラボレーションを果たし、英国トラディショナルと勢いのあるブランドの革新性を両立させたアイテムをリリース、人気を博しました。

日本ならではのこだわりが貫かれたブランドによるトレンチも


KAPTAIN SUNSHINE(キャプテンサンシャイン)

 

Waste (twice)のデザイナーを経た児島晋輔氏が、2013年春夏よりスタートしたブランドです。

上質な原料から作る豊かな材料。
日本のファクトリーの確かな縫製。
気にせず洗って天日干しできる日常着。
古くからのトラデッショナルや
フィールド・ウエアなどのエッセンスを大切に、
旅へと連れ出したくなる一着をデザインしています。

KAPTAIN SUNSHINEホームページより引用。

日本でもオススメしたいブランドはもちろんたくさんありますが、ヴィンテージやミリタリーのオリジナル物に深い造形を持ち、こだわりぬいたディテールと雰囲気を併せ持つブランドとして、オススメです。

ニューヨークサブウェイでも異彩を放つダンディズム


主人公のジーン・ハックマンとフランスのシンジケートのボスがニューヨークのサブウェイにおいて鬼ごっこ(?)を繰り広げるシーン、

手に汗握るような緊迫のシーンでは決してないのですが、絶妙のタイミングで騙し合うシーンが大好きです。

 

あまり本稿の内容的には関係ないシーンではあるのですが、シンジケートのボスがNEW YORK TIMES(ニューヨークタイムズ)を片手に何食わぬ顔でサブウェイに乗る姿が男前なので単純に取り上げておきたいと思いました。

作中で最もイカしたファッショニスタ ルー・ボカ


もう完全に私の好みで、かつネタの質的にも完全に余談ですが、サルの弟のルーがめちゃかっこいい

完全なブルーカラー的な装いですが、アメリカンワークスタイルを非常にリアルに描き出していて、

尚且つLOU BOCAを演じたBENNY MARINOの空気感の出し方が非常に際立ってます。

 

ちょい役での出演ではありますが、使い古されたカーキのミリタリー・ワークスタイルをここまで着こなせる俳優はなかなか貴重です。

 

 

 

Part1と言いつつも、悪役側のご紹介からスタートしてしまいました。

なんかこう、惹かれるものがあってついつい贔屓しちゃいますね。

 

Part2では主人公側のファッションにも言及しながら、フレンチコネクションを読み解いてまいります。

 

ではまた。

References   [ + ]

1. ジャケットのVゾーンを構成する襟の下部分のことを指す。”ゴージ”と呼ばれる境目を隔てて上部から首を周る部分のことを”カラー”といい、ジャケットの表情を大きく左右するディテール
2. ポケットにフタをするように別生地かぶさっているディテールのこと
3. その名の通り、”ハンティング”用の帽子。イギリス発祥で、伝統的な庶民派帽子
4. 実は元々ミリタリー出身のディテールで、イギリス海軍や漁師の船上着として採用されていた。肉厚で風を通しにくい肉厚なメルトン地で、両脇には手を温めるためのマフポケット、前の合わせはダブルで大きめのカラーが特徴
5. 画家などの芸術家のかぶるイメージが強いが、起源は古く中世まで遡る。”グリーンベレー”などで聞いたことがあるように、軍隊の帽子としても採用されてきた
6. 第一次世界大戦時に、イギリス軍において欧州の寒冷地方で防寒目的で作られた外套・オーバーコートの一種。一般的にはウール素材や、コットンを非常に目を細か折り目が斜めに見えるような綾織生地を使い防寒性を高め、前合わせはダブル、ウェストベルトやショルダーストラップなどが特徴

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