Mars Attackに見るポップアメリカンカルチャー

さて、今回の題材となるのは、

映画”Mars Attack(マーズアタック)”

マーズ・アタック!/DVD/DLS-14480

  • 公開:1996年
  • 監督:ティム・バートン
  • 出演:ジャック・ニコルソン/ピアース・ブロスナン他
  • あらすじ:火星人の襲来と征服行動に大混乱するアメリカをコミカルに描き、ティム・バートン独特のマッドな世界観とアメリカンポップカルチャーの世界観が融合された作品。作品としては当時不要であったが、そのコミカルなタッチと独特の世界観から一部においてカルト的な人気を誇る。

 

なんとなく、シリアス寄りの映画が続いていたので、今回はライトな題材にしてみました。

元ディズニーのティム・バートンが手掛ける作品はどれも彼のダークでマッドな世界観と、それを相殺させるコミカルさがよく押し出されていてとても好きです。

 

よくある宇宙人襲来物の映画ではありますが、それだけにアメリカのポップカルチャーが絶妙なバランスで描かれています。

服装もちょっと目を凝らしてみると面白いですよ。

 

ネクタイの柄一つにも演出が隠されている!?~レジメンタルストライプ~


今回は作中のデイル大統領に着目してみましょう。

冒頭のシーンにおいては、こちら側から見て”右下がり”のレジメンタルタイを締めています。

Regiment=連帯という意味からも分かるように、軍隊などの組織に属しているということが分かるという意味も込められています。

レジメンタルストライプといえば、ネクタイにおいては日本でも非常に馴染み深い柄ですが、元々の発祥は英国海兵隊で、英国国旗をベースにデザインされたといわれています。

元々英国で生まれたレジメンタルストライプは、こちらから見て”右上がり”の柄でした。1920年代にはネクタイ柄として浸透していました。

当時訪米した英国のウィンザー公が身に着けていたのもレジメンタルストライプのネクタイで、それに着目した”Brooks Brothers(ブルックスブラザース)”が「向きをリバース(逆)」にして商品化したものが、現在のアメリカ式のレジメンタルストライプの走りとなっています。

※ちなみにブルックスブラザーズは以前にもご紹介しておりますので、気になった方はこちらからどうぞ。

“French Connection”に見る、ギャングと警察の1960年代スタイル Part2

ですので、この後に全米放送に登場するデイル大統領が締めている右上がりのレジメンタルストライプが、本場英国の柄ということになります。

 

  • アメリカ式レジメンタルタイ:冒頭の内々での有識者会議で身に着けている
  • 英国式レジメンタルタイ:火星人襲来についての全米放送において身に着けている

 

アメリカ大統領としては、逆あるいは両方アメリカ式を身に着けているべきシーンではないかと思うのですが、あえてでしょうか。

結果的に終始始火星人に翻弄されてしまう滑稽な大統領であるデイル大統領を演出する術としては、効果的ではないでしょうか。考えすぎかもしれません。

ティム・バートンならやりかねないなと、クスッとしてしまうシーンでした。

 

火星人襲来はよくあること!?かも トム・ジョーンズ


さて、本作品の主題歌を歌っているのは、ウェールズ出身の名歌手”Tom Jones(トム・ジョーンズ)”。

実名での本人出演です。

 

作中のカジノクラブにおいては、この主題歌のパフォーマンス中に火星人が登壇してしまい、最後まで歌い遂げられなかったなんとも残念なシンガーとなっています。ま、エンディングで気持ちよく歌えているようなので良しとしましょう。

それでは、若かりし頃のトム・ジョーンズによるこの映画の主題歌”It’s Not Unusual(よくあることさ)”のご紹介です。

出演は人間だけです。

 

映画”Mars Attack(マーズアタック)”の主題歌が”It’s Not Unusual(よくあることさ)”とはずいぶん皮肉を効かせたものです。

トム・ジョーンズの代表曲としても知られるこの曲、陽気できらびやかなオケも絶妙で1960年代当時のアメリカにもぴったりのナンバーですね。

 

宇宙的デザインはミッドセンチュリーの十八番 ボールチェア


登場する車やファッション、音楽やカジノクラブなどから、おそらくこの映画の舞台となっているのは1960年代と考えられます。

作中のTVショーに出演するキャスターらが腰かけているのは、アメリカミッドセンチュリー1)20世紀の中盤、主に1950~60年代のことを指す。広義ではフィフティーズなどとも同じ解釈を代表するチェア”Ball Chair(ボールチェア)”です。

 

オリジナルのデザインは、1963年にフィンランドのEero Aarnio(エーロ・アーロニオ)氏が発表したもので、「部屋の中にもう一つの部屋」という表現でも親しまれており、球体をくりぬいたような未来的でシンプルなデザインが名作家具たらしめています。外音も70%遮断してくれる機能的なデザインで、最小限のプライベート空間を提供する椅子です。

ADELTA BALL CHAIRの写真

画像出典元:TABROOMホームページ

1990年代には、ドイツのADELTA(アデルタ)が復刻生産権を取得の上で生産を開始しており、現在でもお買い求めいただくことが出来ます。

リプロダクトも数多く出回っておりますが、オリジナルの復刻権を持つアデルタのボールチェアは100万円を下らない非常に高価なインテリアとして知られています。

その洗練されたデザインと機能性、高級感から、ケネディ国際空港内のファーストクラスロビーや世界中のファーストクラスでも使用されているほか、グレース王妃、イヴ・サンローラン、フランク・シナトラといった世界のセレブリティにも愛用されました。

 

最後に


終盤のシーンになりますが、これぞティム・バートンの世界観かなと思います。

あまりこのブログの話題とは関係ありませんが、そこのシーンにロマンスを持ってくるかという発想がエキサイティングです。いいですね。

 

さて、割かしライトに書いてまいりましたが、B級以下とまで酷評されるカルト的人気の映画でも意外と紐解いてみると細かな演出があってクスッとさせられます。

たまにはこういう題材も良いです。

 

最後に、この映画のキーとなるこちらの楽曲でお別れです。ネタバレ感あるので、ご了承の上どうぞ。

Slim Whitman -Indian Love Call(1952)-

 

ではまた。

References   [ + ]

1. 20世紀の中盤、主に1950~60年代のことを指す。広義ではフィフティーズなどとも同じ解釈

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