1930年代を舞台にした”STING”に見る、クラシックアメリカンスタイル Part1

今回題材とするのは、映画「STING」です。

スティング [DVD]

1930年代を舞台とした詐欺師たちの大仕事を描いた映画から、

アーリーアメリカンクラシックファッションワークスタイル、当時親しまれていたお酒やタバコや音楽などについて読み解いていきたいと思います。

 

映画”STING(スティング)”

  • 監督:ジョージ・ロイ・ヒル
  • 主演:ロバート・レッドフォード/ポール・ニューマン
  • 1973年公開。
  • 第46回アカデミー賞受賞をした、オーシャンズシリーズ1)オーシャンズ11などを筆頭に人気の、犯罪スペシャリストが金庫破りなどに挑むコメディタッチのクライムアクションシリーズをはじめとする”コンゲーム”映画の傑作2)実際にオーシャンズ11の元ネタというと、1960年に製作された”オーシャンと11人の仲間”という映画があり、それのリメイクがオーシャンズ11です。このシリーズについてはいずれ言及します。といわれる映画。
  • 1936年シカゴを舞台とした、詐欺師たちの一世一代の大芝居は今見ても全く古臭さを感じさせない、シャープで作りこまれたシナリオが魅力。

 

実は誰もが聴いたことがある、RAGTIME(ラグタイム)というジャンル


冒頭からかかるこちらのBGM。

Scott Joplin 作曲”the entertainer”

RAGTIMEとは


1902年にピアノのためのラグタイムとして作曲され、以降スティングでの主題歌起用をきっかけに1970年代のラグタイム復興へとつながったのが、この”the entertainer”。

RAGTIME自体は、19世紀終盤から20世紀初頭にかけて練り上げられたアフロアメリカン由来の音楽ジャンルです。

当時主流となっていたクラシック音楽に対して、アフロアメリカンがシンコペーション等のクラシックではあまり見受けられない

軽快なリズム感を意識して作られていったジャンルです。

そういったリズム感が由来となって”RAG(=ボロ)TIME(=時間)”というジャンル名で親しまれるようになったとか。

 

RAGTIMEを背景にした日本のファッションブランド BELAFONTE


ちなみに、こうしたアーリーセンチュリー期のアメリカンスタイルを貫く日本のブランドに

”BELAFONTE(ベラフォンテ)”

BELAFONTE(ベラフォンテ)メインイメージ

があります。

1990年代から現在に至るまで多くのストリートキッズを虜にしてきたファッションブランド“COREFIGHTER(コアファイター)”の田中ノボル氏の手掛けるブランドです。

BELAFONTEにおいても多くのアパレルをリリースしていますが、多くのモデル名に”RAGTIME~”とつけている点や、もちろん洋服そのもののディテールなどからも、こうした時代背景をしっかりと吸収していることが伺えます。

特に上画像左手のニットなどは、元ネタとなる40年代前後のオリジナルの製品があり、非常に忠実に再現されてるプロダクトです。

この再現力には毎度頭が下がるこだわりようです。

あの有名RPGにも”STING”の面影が・・・?


余談ですが、このRAGTIMEという音楽ジャンルおよびSTINGという映画には、現代の日本においても多くのファンがいるようです。

ここからは完全に個人的な見解になりますので、あまり確かなことは言えませんが。

作中で用いられているRAGTIMEの曲調は、かの有名なロールプレイングゲーム“FINAL FANTASY IX”においても踏襲されている

のではないかと思います。

先に申し上げた通り、完全な個人の見解ですので、製作者様がどう考えられているかについては当然責任を持って語る権利はありませんが、

聴いてみると「あぁ、確かに」と思われるかもしれません。

 

参考動画

ちなみに作中で”Wire(有線)”という詐欺の手口に使う、サロン用の敷地探しの場面における路地裏の描写はFINAL FANTASY IXにも似たような箇所が登場します。もしかしたら、もしかするかもしれません。

よく似てる、といえば似てますね。

こうした時代と国を超えたカルチャーのリンクは非常に興味深いものがあります。

 

 

古代ギリシャからタトゥーまで引き継がれる”TWO FACE”モチーフ


 

この映画は章立てがはっきりとメタ的に描かれており、

  • 1.1 The Players – “プレイヤーたち”
  • 1.2 The Set-Up – “段取り”
  • 1.3 The Hook – “引っ掛け”
  • 1.4 The Tale – “作り話”
  • 1.5 The Wire – “電信屋”
  • 1.6 The Shut Out – “締め出し”
  • 1.7 The Sting – “とどめの一撃”

という構成になっています。

冒頭の章に該当する、”THE PLAYERS(仕掛け人)”。

ここで登場するモチーフは、タトゥーモチーフやスケートアートでもよく目にすると思います。

“TWO FACE(ツーフェイス)”と親しまれているこちらのモチーフ、実はその起源は非常に古いのです。

起源は遡ること紀元前のギリシャ、大きな会場での演劇において役者の表情をわかりやすく届けるために、極端な感情を表現したお面をつけていたことに由来する。と言われています。

笑顔=喜劇/泣顔=悲劇 を意味するようになったり、

“Laugh now, Cry later”/”Smile now, Cry later” というように、「今笑って、泣くのは後で」という、楽観主義的な格言にもつながるモチーフで、今をポジティブに生きるといったメッセージが込められるようになりました。

メキシコ系のチカーノギャング3)ヒスパニックの項でも触れられているように、人種的な多様性を持っているチカーノ達だが、生活様式においてもそれほど一貫性はない。低所得層に関しては概ね黒人達と交流を持ち、同様の文化を持つ。例えば、カリフォルニア州南部のロサンゼルスサンフランシスコなどではギャングスタとなる者もおり、あるチカーノ・ギャングはクリップスブラッズと並ぶ第三のギャング勢力となっている。チカーノ・ギャングスタの特徴としては、頭を丸め、口髭を伸ばし、サングラスをかけているものが多い。南カリフォルニアでは自動車産業に従事し、ローライダーと呼ばれる車両に没頭した。また、ロス・ロボスなどのロックは、「チカーノ・ロック」、ティアラやロッキー・パディーヤなどのチカーノR&Bは「ブラウン・アイド・ソウル」とジャンル分けされるケースがある。アメリカ南部のテキサス州を中心としたメキシコ人の音楽全般は、「テハーノ・ミュージック」とも呼ばれる。※以上 Wikipediaより抜粋においては、”Play now, Pay later”という言葉にも転ずるほど、様々なところでメッセージ性の強いモチーフとして使われています。

 

 

ファッションについて


さて、このSTINGですが、1930年代を舞台にしているということで、当時のアメリカンクラシックファッションや

現代のワークスタイル、レトロブームにも通ずる源流となるアイテムが多数登場しております。

ここからは、そういったアイテムや着こなし、現代に落とし込むとしたときに参考に出来るブランドなどをご紹介いたします。

アーリーアメリカンのクラシックスタイル


冒頭のシーンで嵌められてしまうギャングの手下が履いているレザーシューズ。

アーリーアメリカンを象徴するきれいなツートンの外羽根靴4)甲部分のシューレースを通す鳩目のある部位が、外側から包み込むような作りの名称、別名”ブルーチャー”とも。反対に鳩目部分の生地が甲の前方の生地の下に潜り込んでいる靴を内羽根という、”バルモラル”ともですね。

アッパー部分だけがきれいに白く、その他の部分についてはブラウンで仕立てられた非常に洒落たデザインです。

現代の日本においては、

GLAD HAND

「glad hand」の画像検索結果

REGAL社のShoe&Co.

「shoe&co」の画像検索結果

 

などでこうしたクラシックスタイルのレザーシューズを買うことが出来ます。

もちろん現代風にスタイリッシュにアレンジされているので、テイストとして取り入れるのによいと思います。

こうしたクラシカルでセクシーなセットアップスタイルは、作中においても主人公のフッカーが様になっています。

最初の詐欺で手にした大金をもとにスーツを新調、茶色にベージュのはっきりとしたストライプにキャスケット、小紋のブルーシャツにレジメンタルタイ。

現代のセットアップスタイルよりも全体的にだいぶ太目のシルエットでいわゆる威厳であったり、堂々としたスタイルを主張出来るシルエットですね。

 

こうしたクラシックなアメリカンスタイルを貫いているブランドといえば、

OLD JOE(オールドジョー)

「old joe」の画像検索結果

 

PHIGVEL(フィグベル)

 

BLACK SIGN(ブラックサイン)

BlackSign in England.jpg

などが挙げられます。

 

どのブランドもモノづくりに非常にこだわっており、当時の時代背景や生地の種類、縫製に至るまで研究を欠かさず、

ブレないプロダクトとスタイルが魅力です。

 

紳士の嗜み マスタッシュ(口髭)


また、こうしたクラシカルなスタイルに合わせる男の嗜みとしてぜひマネしたいのが、マスタッシュ(口髭)

作中の悪役(?)ドイル・ロネガンの髭、素敵です。

ただ伸ばすだけでなく、しっかりと切りそろえられデザインされている、尚且つ両サイドがピンと撥ねています。

いわゆるカイゼル髭5)髭のデザインの一種で、語源はカイザー”皇帝”からきていると考えられる、とても威厳と親しみやすさが共存したスタイルの一種の形です。

 

こんな立派なお髭、日本ではなかなか目にすることは少ないかもしれませんが、海外にはしっかりと髭専用のスタイリング剤もあったりします。

ここにご紹介したペンハリガンやアメリカのHawleywood’s(ホーリーウッズ)のオリジナルブランド”LAYRITE”などは蜜蝋など少し特殊な成分が使われているため、日本での輸入販売ができないらしいです・・・。

 

しかし、

 

そんな状況の中で、日本で髭専門のプロダクトを作り続けている気骨のあるブランドがあります。

MASTER of MUSTACHE(マスターオブマスタッシュ)

名前の通りで、髭専門のブランドとなります。

蜜蝋の使用は、輸入問題だけでなく、日本の湿度や気温にも適していないとの観点から独自ブレンドにより開発したマスタッシュワックス、私も愛用しておりますが、ホールド力もあり使い勝手抜群です。

 

ブランドを運営されている方は、日本においてタトゥーカルチャーをベースにしたアパレルブランド“SOFTMACHINE(ソフトマシーン)”も運営されています。

ハットスタイル


作中のゴンドーフがフッカーに初めて会うシーンにおいて、身に着けているファッションアイテムが

タンクトップにオーバーオール フェルトハット

もうこれね、ポール・ニューマンじゃないとダメですよ。

ここまで土臭いワークファッションを、これほど自然と着こなされたらもうたまったもんじゃないです。

 

また、作品の舞台となる1930年代においては、今でいうところの”カンカン帽”がしばしば登場します。

 

作中を通して警察官たちはフォーマルな装いにカンカン帽を合わせています。

現代ではあまり考えられない合わせかもしれませんが、どことなくポップで自由な気質が感じられるアメリカ人ならではの着こなしかもしれません。

アメリカでジャズがメジャーになりい始めたころから流行しているとも言われており、なんとなく大衆カルチャーの変遷に便乗している感がありますね。

 

ちなみに、

日本でも明治終期から大正にかけて流行したようですが、和装に合わせることで非常にレトロな雰囲気になります。

「カンカン帽 和装」の画像検索結果

画像出典元:Web Magazine 昭和からの贈り物 第二章 大正初期~大正末の記録

シックな装いに合わせるバランス感覚的には、アメリカと日本で近いものを感じますね。

ここ数年はこうしたカンカン帽を今風のカジュアルな着こなしに合わせる方が男女問わず増えてきました。

どちらかというと若い女性の方が多いかもしれません。面白いですね。

 

スーパー余談(ロレックス デイトナ)


主演のポール・ニューマンといえば、俳優とともにレーサーとしても有名ですが、その彼といえば

世界的に有名なあの時計ですね。

“ROLEX DAYTONA(ロレックス デイトナ)”

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画像出典元:EVANSのブログより

なんと現在の市場ではとてつもないプレミア価格がついたロレックスとして知られ、1,000万円超えもザラです。

私なんかもう全く手が出ませんが、もし興味がある方はEVANSさんのブログをご覧になってみてはいかがでしょうか?

 

今回はこのくらいにしておきます。

次回は、作中の“酒とタバコ”について、お送りします!

ちょっぴり”ワル”な感じの記事になる予感。

ま、しょうがないか!

この時期の情勢


アメリカ合衆国

大統領

  • 第30代 カルビン・クーリッジ
  • 第31代 ハーヴァード・フーヴァー
  • 第32代 フランクリン・ルーズヴェルト

主な出来事

  • 禁酒法時代
  • 映画の初のトーキー化
  • 世界大恐慌
  • 満洲事変
  • ニューディール政策
  • 第二次世界大戦勃発

References   [ + ]

1. オーシャンズ11などを筆頭に人気の、犯罪スペシャリストが金庫破りなどに挑むコメディタッチのクライムアクションシリーズ
2. 実際にオーシャンズ11の元ネタというと、1960年に製作された”オーシャンと11人の仲間”という映画があり、それのリメイクがオーシャンズ11です。このシリーズについてはいずれ言及します。
3. ヒスパニックの項でも触れられているように、人種的な多様性を持っているチカーノ達だが、生活様式においてもそれほど一貫性はない。低所得層に関しては概ね黒人達と交流を持ち、同様の文化を持つ。例えば、カリフォルニア州南部のロサンゼルスサンフランシスコなどではギャングスタとなる者もおり、あるチカーノ・ギャングはクリップスブラッズと並ぶ第三のギャング勢力となっている。チカーノ・ギャングスタの特徴としては、頭を丸め、口髭を伸ばし、サングラスをかけているものが多い。南カリフォルニアでは自動車産業に従事し、ローライダーと呼ばれる車両に没頭した。また、ロス・ロボスなどのロックは、「チカーノ・ロック」、ティアラやロッキー・パディーヤなどのチカーノR&Bは「ブラウン・アイド・ソウル」とジャンル分けされるケースがある。アメリカ南部のテキサス州を中心としたメキシコ人の音楽全般は、「テハーノ・ミュージック」とも呼ばれる。※以上 Wikipediaより抜粋
4. 甲部分のシューレースを通す鳩目のある部位が、外側から包み込むような作りの名称、別名”ブルーチャー”とも。反対に鳩目部分の生地が甲の前方の生地の下に潜り込んでいる靴を内羽根という、”バルモラル”とも
5. 髭のデザインの一種で、語源はカイザー”皇帝”からきていると考えられる、とても威厳と親しみやすさが共存したスタイル

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