1930年を舞台にした”STING”に見る、クラシックアメリカンスタイル Part2

 

 

さて、前回に引き続き映画”STING(スティング)”よりお送りしてまいります。

スティング [DVD]

 

今回は、前回の音楽とファッションに次いで、

酒とタバコ

がテーマとなります。

 

いやー、テーマが悪いですね。

映画で見る不良というのは、得てしてかっこいいものです。

そんな男たちが嗜んだ酒とタバコに焦点を当てて読み解いてまいりましょう。

 

作中のお酒やタバコの描写について


 

1930年代を舞台にした映画ということで、当時のお酒文化やタバコ文化などもしっかりと作中に反映されていたりします。

勤務中の飲酒や喫煙については、大して弊害や制限がなかったのがよくわかります。

ボスの飲む酒は、”佇まい”からカッコいい


冒頭でモトーラのボスが飲んでいるボトル なんとなく

“Captain Morgan(キャプテンモルガン)”

「キャプテンモルガン」の画像検索結果

に見えないこともないですが、正確にはわかりません。

ただ、よくよく調べてみるとキャプテンモルガン自体は1944年発売開始のラム1)ラム自体は、サトウキビが原料となっている。サトウキビを絞って、砂糖として結晶化する部分以外の成分(糖蜜)を使って、発酵~蒸留~熟成させて作るのが大まかな製法ですので、作中の1936年の人間は飲めないですよね、きっと。

美味しいのに、もったいない。

 

ちなみに、私はラムコーク/キューバリブレ2)ラム+コーラで作るシンプルなカクテル。しばしばライムジュースあるいはライムが入っていないとキューバリブレとは言わないという説もありますが、キューバ本国でもライムなしのキューバリブレがあるみたいです。に使うのが好きです。バニラ感が何とも言えず鼻と舌を喜ばせます。

 

きちんと登場する映画を見つけたら、またこのお酒については詳しく触れようと思います。

ミルウォーキーを有名にしたビール”Schritz(シュリッツビール)”


”The beer that made milwawkee famous(ミルウォーキーを有名にしたビール)”として有名なビールでもあり、

冒頭のアジトでのシーンや、主人公たちが悪役を嵌めるために作戦会議をしている仲間のパブにおいてしばしば登場するのが、

“Schlitz Beer(シュリッツビール)”

1900年代から1970年代にかけてアメリカ合衆国で親しまれたラガービール3)エールビールに対してのラガービール、ピルスナーとも。低温発酵酵母を使い、長時間かけて発酵させることで、後味スッキリの喉越しのよいテイストにするビアスタイル。日本の大手ビールはこのタイプがほとんどですね、軟水だとあまりエールに向かないそうです。ですね。

シカゴの大火で当地の多くの醸造所が焼失したとき,シュリッツ社は飛躍 のチャンスを掴み,翌1872年には「ミルウォーキーを有名にしたビール」 というスローガンが生まれた。20世紀初頭までにシュリッツ社は,パブ スト社,アンハイザー・ブッシュ社に次いで全米第3位のビール会社とな り,1920年代の禁酒法時代には,モルトやイーストなどを供給して企業 の存続をはかった。1947年には全米で売上高トップのビール会社とな り,1957年には「バドワイザー」にその座を譲ったが,1960年代には「シ ュリッツ・モルト・リカー」と「ポップ・トップ」という2つのブランド の缶ビールを導入することに成功した。1970年代初期には,美味しさと いうテーマを維持しながら「船乗り」のイメージを使ったライフスタイル ・アプローチが採用され,自社の主力ビール「シュリッツ」は強力な No. 2 のブランドの地位を維持できた。

出典元:山口一臣「会社破綻の分析と教訓:シュリッツ社とパブスト社の事例」『成城・経済研究』183・184合併号(2009年3月)

 

 

1871年のシカゴ大火において、一躍その名を轟かせた”Schritz(シュリッツ)”。

20世紀初頭の禁酒法時代4)一般的に1920~1933年の間、アメリカにおいて酒類の製造・販売・運搬・輸入・輸出を禁止した憲法修正18条下の時代。これに合わせた全国禁酒法、いわゆる”ヴォルステッド法”において禁酒法時代がもたらされた。当時はこの法律下での酒の密造や密輸、モグリの酒場”SPEAK EASY(スピークイージー)”などがはびこり、現在でいうところのシンジケートの温床となったとかならなかったとか、まぁいろいろと研究されている。を生き延び、1970年代まで100年近くもの間、アメリカでの地位を確立していましたが、

人口構成の変化や後継者問題、イメージ戦略の失敗などの要因によって1982年には破綻。

2009年時点でパブスト社が同ブランドを保有していたことが知られていますが、現在は明らかでありません。

 

禁酒法時代を乗り越えた巨大ビールメーカーでさえも、このような凋落があるというのは寂しくもあり、時代の流れというのはかくも大きいものかと

実感させられます。

 

こうしたアメリカの大衆ビールについては、数々の映画にて取り上げられているので、今後も取り上げることが多いと思いますが、

上記のような時代背景で姿を消したビールも少なくありません。

味やパッケージもそうですが、こうしてスタイルとして当時のカルチャーに溶け込んでいた嗜好品はなんともそそられるものがありますね。

 

ジントニックを生んだ伝統的ドライジン”GORDON”


 

鉄道でのポーカーにおいて敵を欺くために”GORDON(ゴードン)”を水で薄めて口髭に塗り、酔っぱらいのふりをするゴンドーフ。

ゴードンといえば、ジントニック5)ジン+トニックウォーターで作るシンプルなカクテル、日本でも馴染み深いですねを生んだ伝統的ドライジン6)トモロコシや麦芽、ライ麦などのグレーンを連続式蒸留機で蒸留し、杜松の実(ジュニパー・ベリー)をはじめとしたボタニカルを加えて作る蒸留酒

ロンドンスタイルのドライ・ジンで、映画”007″においても登場すると思う(おそらくジェームス・ボンドはジントニックのベースにゴードンを指定しているはず)ので、また詳しく触れることになると思います。

 

アーリーアメリカンのタバコ”OLD GOLD”


サロン向かいのカフェのパネルには”OLDGOLD(オールドゴールド)”という文字を見つけることが出来ます。

このオールドゴールド、1920年代から作られているアメリカのLorillard社のタバコ製品で、バージニア州産の葉を使用しているということが

わかっていますが、日本では馴染みもないため、あまり確かな情報がございません。

なんかでも、響きが、その、いいですよね。

 

ちなみに・・・

禁酒法時代の伝説の無法者”Machine Gun Kelly(マシンガン・ケリー)”


前半のアジトのシーンで子供がテレビで見ていたのは”マシンガン・ケリー”

19世紀終盤から20世紀初版にかけて禁酒法時代の中、密造酒作りや誘拐などの犯罪に手を染めた禁酒法時代を代表するクリミナル。

得てしてアメリカの映画では、犯罪者や昔の無法者などを少し美化したり憧憬の対象としてこのように描くことが多いですが、

アルセーヌ・ルパンや、ネズミ小僧とか、そういう感覚ですかね。

“Don’t shoot,G-men(Government men)”という言葉はケリーが発言したとも、同時代のギャング ジョン・デリンジャーが発したとも。

禁酒法時代の描写については、”LOWLESS(欲望のヴァージニア)”でまた触れようと思います。

 

ではまた。

 

おまけ


Schlitzのコマーシャル

https://youtu.be/pB6FmR5x4_Y

 

参考文献


山口一臣「会社破綻の分析と教訓:シュリッツ社とパブスト社の事例」『成城・経済研究』183・184合併号(2009年3月)

禁酒法とアメリカ社会 Prohibition and the American Society – 大阪産業大学 教養部助教授 常松洋

※順不同

 

 

References   [ + ]

1. ラム自体は、サトウキビが原料となっている。サトウキビを絞って、砂糖として結晶化する部分以外の成分(糖蜜)を使って、発酵~蒸留~熟成させて作るのが大まかな製法
2. ラム+コーラで作るシンプルなカクテル。しばしばライムジュースあるいはライムが入っていないとキューバリブレとは言わないという説もありますが、キューバ本国でもライムなしのキューバリブレがあるみたいです。
3. エールビールに対してのラガービール、ピルスナーとも。低温発酵酵母を使い、長時間かけて発酵させることで、後味スッキリの喉越しのよいテイストにするビアスタイル。日本の大手ビールはこのタイプがほとんどですね、軟水だとあまりエールに向かないそうです。
4. 一般的に1920~1933年の間、アメリカにおいて酒類の製造・販売・運搬・輸入・輸出を禁止した憲法修正18条下の時代。これに合わせた全国禁酒法、いわゆる”ヴォルステッド法”において禁酒法時代がもたらされた。当時はこの法律下での酒の密造や密輸、モグリの酒場”SPEAK EASY(スピークイージー)”などがはびこり、現在でいうところのシンジケートの温床となったとかならなかったとか、まぁいろいろと研究されている。
5. ジン+トニックウォーターで作るシンプルなカクテル、日本でも馴染み深いですね
6. トモロコシや麦芽、ライ麦などのグレーンを連続式蒸留機で蒸留し、杜松の実(ジュニパー・ベリー)をはじめとしたボタニカルを加えて作る蒸留酒

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