Wind Talkersに見る、1940年代のUSMC描写とインディアンジュエリー Part2

さて、今回は前回に引き続き、”Wind Talkers”よりご紹介です。

ウインドトーカーズ [DVD]

  • 公開:2002年
  • 監督:ジョン・ウー
  • 主演:ニコラス・ケイジ
  • あらすじ:1944年、太平洋戦争におけるサイパン島制圧作戦に焦点を当て、コード・トーカー(暗号通信兵)として派兵されたナバホ族の隊員と作戦をともにするアメリカ兵を描いた。
  • 3700万ドルの損害を出し、興業的には失敗したといわれている。

 

前回は、作中に登場するナバホ族の文化や服装、アクセサリーについて触れましたが、Part2では作中のアメリカ兵に焦点を当てて、戦闘服(フィールドジャケット)や装備、嗜んだ酒などについて言及したいと思います。

1940年代を代表する迷彩”ダックハンターカモ”


本作品の時代背景は、1940年代の太平洋戦争ということで、作中のアメリカ兵は当時のフィールドジャケット1)野戦服。前線での作戦行動をするために動きやすく、また迷彩やユーティリティポケットなど機能面も考えられた戦闘服。を身に着けています。

 

作中で焦点が当てられているのは、USMC2)United States Military Corps:アメリカ海兵隊です。

「陸海空軍の全機能を備え、アメリカ軍が参加する主な戦いには最初に、上陸・空挺作戦などの任務で前線に投入され、その自己完結性と高い機動性から脚光を浴びている緊急展開部隊」

引用元:アメリカ海兵隊-Wikipedia

その高い機動性や陸海空の戦力を備えていることが海兵隊のマークであるワシ、大陸、碇からもうかがい知ることが出来ます。

作中の訓練場においても、USMCの装いが忠実に再現されています。

ペンホルダーを備えた胸ポケットには”USMC”のステンシルとともに、上記のロゴが施されていますね。

センターのボタンの両脇を縦に走る大ぶりなステッチライン、物資節約のために数が削られたボタン、ヘリンボーン織3)イワシの骨という直訳で、織り方が魚の骨のように折り目が右上がり・右下がりの交互配列になっている織り方の生地が特徴的です。

 

こちらは作中でUSMCが派兵されたサイパン島での戦闘シーンです。

このシーンでは、現代ではファッションアイテムでもよく見かけるようになった”ダックハンターカモ4)別名:フロッグスキンカモ、レオパードスポットとも”のフィールドジャケットを身に着けています。

丸みを帯びた迷彩柄、上述のヘリンボーン織、表が緑、裏が茶色基調のリバーシブル仕様というのが特徴で、USMCを代表する迷彩ののひとつとなっています。

 

わかりやすい画像はこちらなど。

ダックハンターカモ ジャケット

画像出典元:中田商店HP

元々はジャングルなどの植生地帯での作戦行動用に様々な植生にカモフラージュ出来るようにと考案された迷彩でしたが、作戦行動を行う兵士からの実務行動のしづらさに対しての不満や、1944年のノルマンディー上陸作戦においては敵対するナチスの戦闘服とデザインが似て見えてしまったことによる味方への誤射などの背景からいわゆる通常の迷彩(ウッドランドカモ)が再び支配的になっていきました。

 

現在ではマウンテンパーカーやシャツ、パンツなど幅広いアイテムにおいてこのダックハンターカモが落とし込まれており、ファッションデザインとして一定の市民権を得ています。

 

 

一部においてはベトナム戦争期まで導入されていたカモフラージュパターンで、主に南太平洋地域での作戦に使用されていた、という背景を鑑みても、作戦決行地域がサイパン島ということを考えるとかなり考えられて使用されているのではないかと考えられます。

 

 

暗号通信兵の装備は現代のファッションアイテム!?


さて、Part1からお伝えしている通り、この映画においてはナバホの暗号通信兵が活躍した様子が描かれていますが、彼らの装備についても、現代のファッションに通じている点がございます。

 

今回取り上げたいのは、彼らが通信機器を収納し持ち運んでいたバックパックです。

 

こちらの写真は派手にやられちゃってますが、縦に大きく開くファスナーが見受けられます。

大ぶりな通信機器を不自由なく持ち運んだり出し入れするのに必要な仕様ですね。

 

 

新しいバックパックが支給されましたね。

通信兵のバックパック、外側に縦に開く大きなファスナー、また、上部が蓋のように開く仕様、どこかで見たことがあるような・・・。

 

そう、

MYSTERY LAUNCH

MYSTERY RANCH “3day Assult BVS”

米軍特殊部隊を中心に多数の採用実績があるマスターピース。3ジップデザインはぞの見た目以上に素晴らしい使い勝手です。ウエストベルトはサイドに格納可能で不要な時でも邪魔になりません。フューチュラヨークシステムでユーザーの背面長に合わせてジャストフィット。頑ななまでの現場主義で完成しました。

引用元:MYSTERY RANCH HP

様々なアウトドアシチュエーションに対応出来るよう、使用状況に応じたラインを複数展開し、それぞれの行動に最適化されたデザインと機能性は上記のとおりアメリカ特殊部隊への納品実績もある折り紙付き。

 

アウトドアショップや高感度セレクトショップなどで入手することが出来ます。

 

Wind Talkersに登場した酒たち


アメリカを象徴する蒸留酒のひとつ”ラム”


ここからは、作中でも登場する御酒についてご紹介いたします。

“Wind Talkers”において銘柄の言及がされているのは、1978年にアメリカで販売数No.1のスピリッツ5)果実や穀物などを原料として作られる醸造酒を元に作られる蒸留酒の俗称。その歴史的背景や愛飲された宗教的、文化的背景などから、精霊が宿る、であったりそういった神聖な効能があるとしてスピリッツという俗称が生まれたという説があるに輝いたことでも知られる、”BACARDI(バカルディ)”。

ラム酒6)一般的にはサトウキビを絞り、結晶化しない成分(糖蜜)に含まれる糖分を酵母が発酵させたものを蒸留して作られるです。

 

“BACARDI(バカルディ)”


 

“Wind Talkers”においては、そうしたラム酒の代表格である“BACARDI(バカルディ)”が取り上げられています。

 

「バカルディ」の画像検索結果

ラム酒自体は、その原料にサトウキビが使われているという点で、アメリカの歴史的な背景と関係があります。

Part1の項でも少々触れましたが、アメリカにはご存知の通り、西部開拓の歴史があります。

そういった中で、ヨーロッパからの移民たちが自分たちの土地を開墾して、貿易ビジネスで財を築くために、荒れたアメリカ大陸でも育ちやすいサトウキビを使い、砂糖の生産が盛んになったという背景もあり、中南米、カリブなどを中心にラム酒は一般的な庶民派のお酒として愛されてきました。

そういった歴史の中でバカルディは、1862年にドン・ファクンド・バカルディによってキューバ・サンティアゴにて創立され、以降世界的に有名な様々なカクテルのベースとしても愛されるようになりました。

代表的なカクテルとしては、ダイキリ7)一般的には、ラム:45ml、ライムジュース:15ml、砂糖:1tsp(ティースプーン)で作られるショートカクテル、レモンジュースやガムシロップを代用する場合もある。キューバリバー8)ラムとコーラで作られるカクテル、ライムジュースやライムカットをアクセントに入れるのが一般的。などがございます。

 

ちなみにこのシーンは、サイパンへの出立前夜、海軍のスタッフとして従事する女性に1杯ごちそうするシーン。

「ラムをもらうわ」と言われてバーテンダーの男性に頼んだのがバカルディでした。

 

敵国の酒に”飲まれる”アメリカ兵


前線での野営地において、海兵隊員たちは、日本軍から押収(?)した日本酒を嗜むシーンがあります。

銘柄なども言及されないですが、「酔える」酒として登場し、その末に死んでいった戦友たちの悪夢・幻覚にうなされるというシーンです。

 

当時、アメリカ人が米から作った醸造酒を飲むというのはあまり馴染みがない文化ではないかと思いますが、敵国の酒に溺れるというのは、太平洋戦争においてこういうシーンが描かれるというのはなんとも皮肉な話ですね。

 

 

終わりに


さて、Part1,2を通して、太平洋戦争におけるサイパン奪還、ナバホの通信兵などについて言及しました。

決して戦争を肯定するつもりはないのですが、文化や歴史、ファッションなどを読み解く上ではこうした言及は必要かなと思っております。

 

作品の終盤においては、

「50年もすれば俺たちは日本人どもと一緒に座り、同じ酒を飲み交す日が来るかもしれない」といったような内容のセリフがあります。

 

酒好きの私としては、非常に好きなシーンです。

 

ひょっとしたらこのようなセリフが本当に太平洋戦争中の兵士たちから聞こえてきていたのかもしれません。

今となっては、酒場において日本人とアメリカ人が酒を飲み交し、日本酒に舌鼓を打ち、バーボンやラムで語り合う光景は決して珍しくありません。

私自身も、アメリカから来た同世代の男性たちと、東京・渋谷でアメリカ産のクラフトビールを飲み交し、アメリカンスピリットを吸いながら、翌日大阪で行われる友人の結婚式に参加する予定の彼らに「良いパーティを」と告げたことがあります。

 

嗜好品とその歴史は、嗜む人がお互い乗り越えた時代背景を考えてみたりすると、より一層興味深く、感慨深いものになりますね。

 

願わくば、もう二度と乗り越えたくない時代ですが、今日気兼ねなく同じ酒を楽しく飲み交せる時代に生まれることが出来たことには、感謝しなければならないなと、そんな風に思います。

 

ではまた。

References   [ + ]

1. 野戦服。前線での作戦行動をするために動きやすく、また迷彩やユーティリティポケットなど機能面も考えられた戦闘服。
2. United States Military Corps:アメリカ海兵隊
3. イワシの骨という直訳で、織り方が魚の骨のように折り目が右上がり・右下がりの交互配列になっている織り方
4. 別名:フロッグスキンカモ、レオパードスポットとも
5. 果実や穀物などを原料として作られる醸造酒を元に作られる蒸留酒の俗称。その歴史的背景や愛飲された宗教的、文化的背景などから、精霊が宿る、であったりそういった神聖な効能があるとしてスピリッツという俗称が生まれたという説がある
6. 一般的にはサトウキビを絞り、結晶化しない成分(糖蜜)に含まれる糖分を酵母が発酵させたものを蒸留して作られる
7. 一般的には、ラム:45ml、ライムジュース:15ml、砂糖:1tsp(ティースプーン)で作られるショートカクテル、レモンジュースやガムシロップを代用する場合もある。
8. ラムとコーラで作られるカクテル、ライムジュースやライムカットをアクセントに入れるのが一般的。

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